CASE

異物誤飲

Case09.異物誤飲 ~内視鏡下異物摘出術~

6ヵ月の犬。ペットシッターに預けていたところ、コングの1段目を壊して食べてしまったとのことで来院されました。
診察の結果、健康状態は特に問題ありませんでした。

疾患の説明

おもちゃを含めた、食べてはいけないものを食べてしまうことを異物誤飲と言います。好奇心旺盛な子犬・子猫に多い疾患です。

治療の内容

一般的な処置の方法として、まずは催吐処置を行います。大きさや形状などの要因から催吐処置で吐かない場合には、内視鏡手術や開腹手術を行います。
この症例では、飼い主様が異物誤飲に気づき、すぐに連れて来ました。レントゲン検査を行い、異物が胃の中にあることを確認しました。かなり大きな物が写っています。

まずは、トラネキサム酸の副作用を用いた催吐処置を行いました。液体状のものは嘔吐しましたが、おもちゃは出てきません。
そこで、飼い主様と相談し、麻酔下で内視鏡手術を行うことになりました。
内視鏡では取れる可能性が低い大きさのものではありましたが、飼い主様より「開腹は避けたい」との希望があり、最善を尽くすとお話ししての手術です。
血液検査を行い全身状態に大きな異常がないことを確認してから、全身麻酔を行いました。内視鏡を口から挿入するとすぐに、コングの1段目を発見することができました。

いくつかの異物除去鉗子を用いましたが、形状と大きさから摘出することができません。
そのため、コングの中央に穴が開いている構造に着目して、糸をその穴に通すことにしました。
コングに通った糸を口の外で保持し、内視鏡で観察しながら慎重に胃から引き上げ、摘出することができました。

治療後の注意点

麻酔中の様子および覚醒後の体調も問題が無かったので、その日のうちに退院となりました。
大きな異物を摘出したために食道にわずかな炎症が起きましたので、粘膜保護剤を3日分処方しました。
今回は何とか内視鏡で摘出することができましたが、異物誤飲は繰り返しやすい疾患であり、再発を防ぐためには飼い主様の注意が必須です。
生活環境の整備など、再発を防ぐための指示をし、定期的に様子を伺うこととしました。